茶師 佐々木 健
本来、日本では、“方言”のように産地により特徴のあるお茶が作られていました。海外で作られている紅茶やコーヒーと同じです。しかし、深蒸しという製茶が主流になり、栽培しやすいお茶の木が流通したことで、「緑色で濃いお茶=いいお茶」というイメージが定着。今日では、どこのお茶も似たり寄ったりな印象が否めません。お茶が標準語化してしまったのです。今、アイヌ語が絶滅するのではと危惧されていますが、お茶づくりにも同様のことが言えるのです。各地に根付いた伝統のお茶づくりが失われてしまうことは、お茶の文化そのものを失うことであり、それを復活させることは容易ではありません。
日本のお茶という文化遺産を大切に受け継いでいくために、時には産地とそこで働く農家さんの活性化を含めた、お茶づくりをしていきます。そして、日本各地に息づく評価されるべきお茶に、もう一度光を当てるべく、さらなる精進を続けていきます。